4人が本棚に入れています
本棚に追加
「こいつは確か……」
マシュフォワールが手を止め、男をじっと見る。
「下界活動における、アルバ氏の名称は阿部一。
配属当初は、大手総合商社【幸徳】の営業部第ニ課に配属。
新入社員として、真面目に活動をしてたらしい」
アルバの姿が、スーツに身を包んだ仕事人へと早変わりする。
「思い出したぞ。
こいつは、私が管理対策局に入りたての頃に騒ぎを起こした奴だ!」
「当時のマシュー殿は、不幸なことに彼の尻拭いをさせられる部署に配属させられていたなー」
「余計なことは言わなくていい!」
「仲が良いのですね、お二人は。
話を進めてもらってもよろしくて?」
見かねたキアラが介入し、両者のやりとりを制した。
「はーい。
こんな彼が同僚と居酒屋へ行った際、その事件は起こった」
グロウスは何事も無かったような素振りで、映し出されているアルバに触れた。
室内に、当時記録されていた映像が広がっていく。
居酒屋に入ってしばらくは世間話を交えながら、オーダーした料理を堪能していた阿部氏。
やがて酒が回り、席を立つ時には顔は真っ赤に染まっていた。
二軒目に行こうとする同僚達の誘いを断ると、近場にある焼き肉のチェーン店へと直行する。
二時間食べ放題のコースを選ぶやいなや、メニュー表を指差し、「ここらへん全部持ってきて」と頼み始めた。
最初のコメントを投稿しよう!