メニエール氏症候群

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家からM下医院まで車で30分の道のりである。 父の運転で9時近くに到着した。 身をよじって吐き気と格闘している私を診て院長先生は、 「うーむ。今夜入院して下さい。色々検査してみましょう。」 そして、それが悪夢の闘病生活の始まりになるなんて、その時の私はつゆほども思わなかった。 直ぐ様、入院手続きをとり、看護師さんに6人部屋に案内された。 病気の診断もつかぬ前に何やら点滴をされる。 栄養、水分補給と吐き気止めの為か? 苦しむ私の背中を、母がどんどんと叩く。 先程の看護師さんがポータブルトイレを持って来た。 「おトイレに行きたくなったら、これ使って下さいね。」 とベッド脇に置いて行く。冗談じゃなかった。個室ならまだしも、こんな大部屋で、他の人が居る所で用を足せというのか。 もちろん歩くのも辛い、私への配慮なのだろう。しかし私は意地でもそのポータブルトイレを使う事はなかった。
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