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案の定、気分が悪い事を告げたら、父の機嫌が悪くなりかけた。
私は、まだこれくらいの不調なら何とかなるだろうと思い
「大丈夫。行けるから。」
と言うと、父の不機嫌はあっさり収まってしまった。予定通り、母と新幹線に乗り込む。しかし何とかなるだろうという私の予想を裏切り、事態はますます悪い方へ向っていった。
母がお腹が空いたと言うので車内販売のコーヒーとサンドイッチを買う。私は
「要らない。」
と一言言い放ち窓の方を向いていた。
「あ、そう。」
母は呑気に包みを開けむしゃむしゃやり始めた。サンドイッチの匂いが鼻に付く。
本格的に込み上げてくる吐き気と闘いながら、匂いを感じないようにコートを頭からすっぽり被りシートを倒してそっぽを向いた。
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