夏の始まり

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それぞれ出された料理を食べ終え休憩していると、神岡が改まった表情で話を始めた。 「いよいよ明日からかぁ。初戦どんなとこだろ?」 「坂本さん曰く普通って言ってたけど、どれくらいが普通なのか分からないしな」 「てかよ、監督が言ってた自分のできることってなんなのかな?」 「オイラは走る! ってことでやんすかね?」 「そんな簡単な話なのか?」 「要するに自分を見失うなってことだろ」 「いやよく分からないんだけど…」 神岡は首を傾げた。 「だからどんなときでも冷静になれってこと。例えばお前がノーアウトランナー2塁のピンチを背負ったとする。そういうときも慌てず一つ一つアウトを取っていく。それがお前のできることだろ?」 「ほう、そうか。なんとなくわかった」 手をポンと叩き納得の表情を浮かべた。
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