夏の始まり

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神岡の発言に一瞬戸惑うも、特に門限とかあるわけでもなく、家とそれほど距離もないので承諾した。 公園自体はあまり広いわけでもなく、普段は人は少ないのだが、なぜか今日はカップルが多かった。 (なんで今日はこんなカップルだらけなんだ?) と思ったが、立ってるままなのはあれだったので、ベンチに座ることにした。 「えっとそこのベンチに座ろうか」 「うん……」 カップルだらけの公園に高校生の男女が2人。なんだか浮いてるような気がした。 「明日試合なんだよな……もし負けたらキャプテンらの夏が終わっちまうんだよな……」 いつになくネガティブな神岡。 「……神岡くんならきっと大丈夫だよ。勝てるって信じてるから」 (えっ? 佐山ってこういうの言う子だっけ……?) ──信じてるから。その言葉に少しドキッとした。 「佐山……あのさぁ……。前から言いたかったことがあるんだけど……」
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