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「タイムお願いします!」
神岡はコントロールが良いわけではないが、ストレートの四球は朝霧が受けて初めてのことであった。そのためタイムをとった。
タイムを取り朝霧はマウンドの神岡のもとに駆け付けた。
「悪い悪い」
申し訳そうな表情で朝霧の顔を見る神岡。
すると同時に神岡の前でパァン!!という音が鳴った。
「うわっ! いきなり顔の前で手を叩くなよ」
「目ぇ覚めたか?」
「は?」
「あくびばっかしてっからさ。さぁ後続はちゃんと打ち取るぞ」
「おう! 当然よ!」
神岡は大丈夫だ──安心した表情で再びポジションに戻った
「プレイ!!」
審判から試合再開のコールが告げられる──
次打者は2番の山下。バッターボックスに入ると早々に送りバントの構えを見せた。
(手堅く来るか……だけどさっきの1番の打席を見る限り、こいつもストレートに反応できないだろう)
朝霧はインハイへのストレートのサインを要求し神岡は従った。
ガキィン!と鈍い打球音とともに朝霧はグラブを高く突き上げた。平凡なキャッチャーフライに仕留めた。
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