VS 王城学園

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あと1人、ようやくここまでたどり着いたバックから声がかかる。 「こっちに打たせろー」 「気楽にな」 バックからの声掛けに頷き、集中する神岡は目を閉じて一呼吸し気持ちを落ち着かせる。 「一番 ショート中川君。」 「しゃあああああああ!!」 声を張り上げ気合い十分で打席に立つ。自分が凡退すればすべて終わるのだから当然と言える。 (初球インハイにストレート) ビュビュッ パァァン! 「ットラアイック!」 高めストレートに手が出ず見送り1ストライク。 そして二球目、朝霧からフォークのサインが出され投げ込む。 たんたんと投げ込み早くも2ストライクに追い込む。 打席に立つ中川、ベンチで見守る王城ナインらから自然と涙がこぼれ始める。 (よしあと1球だ。最後はストレートで決めるぞ!) 朝霧のサインに頷き今度は大きく振りかぶる神岡。 (なぜここでワインドアップ?) (最後は三振奪いたいじゃん♪) (たくっ、ちゃんと入れろよ) 大きく振りかぶりワインドアップから神岡のしなる左腕から渾身のストレートが投げられた──
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