めくりめく

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「ここに座ろうか。ここなら見やすいしね」 そうして選手たちはようやく座ることができた。 「東海大佐上って毎年上位に残ってる学校だよな?」 神岡がトーナメント表を見ながらつぶやく。 「うん、そうだね」 と宮野が横から口を挟み、何やらノートらしきものを取り出した。 「東海大佐上は何といってもあの打線。打線だけならあの横覇魔に匹敵するほど。しかし投手に関しては課題が残る。昨年までは……」 「昨年までは? どういう意味?」 「今年は2年生エースの橘翔太(たちばなしょうた)がいる。1年秋からエース番号を背負ってる選手だね」 「ほえーお前よく調べたな!」 感嘆の表情を浮かべる神岡に対し宮野はへへへと自慢気に笑顔を見せた。 「んでその橘って人の特徴は?」 「えっと……分からないや」 そう言って宮野は下をぺろっと出した。 「なんだそりゃ。んじゃ神鋼は?」 「神鋼はね……守備のチームだね。1点を守る野球をする。打線はイマイチだけど、エースの田中さんは本格派で大量失点がほとんどない」 「ふーん。その田中って人がどれだけ佐上打線を抑えられるかだな──」
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