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打席の糸原は左打席で構えバットを片手で持ち後ろで構える。
いわゆる天秤打法と呼ばれる打法である。
そして田中は大きく振りかぶり第一球を投じた。
初球は糸原の足元に食い込むカーブ。
身動きできず1ストライク。
二球目今度は一転してアウトハイへストレートが突き刺さり、簡単に追い込まれる。
しかし糸原はここから脅威の粘りを見せる。
バットを短く持ちカットしてファウルで粘る。
「あーあれされるとピッチャーつらいんだよね」
そして粘りに粘りフルカウントまで持ち込み田中が投じた10球目は
(よしカーブだ……)
「ストライク!」
(なんてキレだ…捕らえたと思ったのに)
カーブを打ちに行くが予想よりさらに大きく変化しバットが泳いだ。
「すいません塁出れませんでした…」
ネクストバッターで待つ若林に話し掛ける
「大丈夫さ。よく粘ったぞ」
と答えて若林はバットを2度振り打席へと入った。
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