めくりめく

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「──ふわぁぁ投手戦ほど見るのに苦痛の試合はないな」 観戦に飽きてきたのか、大きく口を開けてあくびをする神岡。 「まさかこうまで膠着するとは思わなかったね」 「あの田中って人はストレートと大きく割れるカーブの緩急で抑えてるのは分かるけど、橘って人ストレートしか投げてないっすよね?」 「うーん…ここからじゃよく分からないけど、よっぽどストレートに自信があるのかな? 詰まった打球も多いし、相当伸びがあるのか…」 「いくら自信あってもストレートだけで抑えるのは厳しいっすよ。何かありそうですね」 「ああ、よく見ておかないと──」 両者無得点のまま回は終盤七回表を迎える。 橘はいまだヒット1本のみに抑えていた。 (点が入らないとピッチャーは精神的に疲れるんだよなあ……) そんなことを心の中で思う橘であったが、未だ球速の落ちないストレート主体のピッチングで二番から始まる好打順を3者凡退に打ち取った
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