VS 東海大佐上 ~前編~

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一回の表、マウンドにはもちろん橘翔太が立つ。橘の表情は冷たくまるでこちらを見下しているかのようだった。 そして切り込み隊長矢部がゆっくりとバッターボックスへと向かう。2、3回屈伸したのちバットを構える。 (先頭の役割は球数を投げさせること……できるだけ粘るでやんす) 橘は宇田川の出したサインに頷き投球モーションへと移る 大きく振りかぶりゆったりとしたフォームから第一投が投げられた。 ビュビュッ ドパアン 「ツ……」 橘が投じた初球はど真ん中へのストレートだった。しかし矢部はバットを振ることすらかなわなかった。 (速い……神岡君以上でやんすか?) そして続く二球目も真ん中低めのストレートが決まり、ぽんぽんと2ストライクを取られてしまった。 (バットが出せない……) 三球目、矢部はバットを短く持ち粘ろうとするも、あっさり三球三振に終わってしまった。
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