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「三球ともストレートだったでやんす……球速は140以上でやんす」
ネクストバッターズサークルから打席へと向かう真田に、矢部が帰りぎわに一言そう告げる。
それに対し真田はわかったと答え打席へと向かった。
そしてバッターボックスの一番後ろに立ち、最初からバットを短く持って構えた。
真田は球筋を確認するため、初球、二球と見送り追い込まれる。
しかしここからカット……というよりバットに当てるだけのバッティングで橘に球数を投げさせる作戦を取る。
そしてフルカウントまで粘り10球目───
「ボール! フォアボール!」
橘はしつこく粘る真田に痺れを切らし四球でランナーを出した。
真田の粘り勝ちである。
(ちっ)
マウンドの橘は軽く舌打ちし、マウンドの土を蹴った。
そして打席には三番高宮。チームで一番ストレートに強い高宮である。
(ここまで全球ストレートか。よっぽどストレートに自信があんだな。だが俺にとっちゃ好都合だぜ!)
不敵な笑みを浮かべ高宮は打席へと向かった。
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