VS 東海大佐上 ~前編~

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橘が投げた初球はまたもストレート。しかし荻原は動く素振りを見せず1ストライク (これで18球連続ストレートか?いくらなんでもおかしい……) そしてその二球目だった。 球種はまたもストレート。 それも真ん中高めとバッターの一番打ちごろのコースへと。 (ストレートしか投げないなら速さなんか関係ない!) 荻原も高宮同様に振りに行ったが鈍い音が鳴り響く。 (なに!? 今のは……) マウンドの橘はフッと口元が緩む まるでしてやったりと言わんばかりに…… 荻原の打球はボテボテのセカンドゴロとなりチェンジとなった。 「荻原今の球は?」 ベンチに戻る荻原に監督が声をかける。 「……恐らくカットボールかと……」 「カットボール!?」 カットボール──カット・ファスト・ボールとも呼ばれる変化球で、直球に近いスピードで小さく変化するため打者を詰まらせやすい。メジャーではよく使われているが日本人で使う投手は少数である。 「たぶん神鋼のバッター達もそれで詰まらされてたんだよ。カットボールは打席に立たないと分からないからね……」
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