393人が本棚に入れています
本棚に追加
橘が投げた初球はまたもストレート。しかし荻原は動く素振りを見せず1ストライク
(これで18球連続ストレートか?いくらなんでもおかしい……)
そしてその二球目だった。
球種はまたもストレート。
それも真ん中高めとバッターの一番打ちごろのコースへと。
(ストレートしか投げないなら速さなんか関係ない!)
荻原も高宮同様に振りに行ったが鈍い音が鳴り響く。
(なに!? 今のは……)
マウンドの橘はフッと口元が緩む
まるでしてやったりと言わんばかりに……
荻原の打球はボテボテのセカンドゴロとなりチェンジとなった。
「荻原今の球は?」
ベンチに戻る荻原に監督が声をかける。
「……恐らくカットボールかと……」
「カットボール!?」
カットボール──カット・ファスト・ボールとも呼ばれる変化球で、直球に近いスピードで小さく変化するため打者を詰まらせやすい。メジャーではよく使われているが日本人で使う投手は少数である。
「たぶん神鋼のバッター達もそれで詰まらされてたんだよ。カットボールは打席に立たないと分からないからね……」
最初のコメントを投稿しよう!