VS 東海大佐上 ~前編~

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そして回は一回裏へと移る。 マウンドで屈伸する神岡に朝霧が一声かけた。 「──最恐打線って言われるほどだからな……油断はするなよ」 「油断? するわけないじゃん」 神岡はきょとんとした表情で答えた。 フッと少し笑い朝霧は自分のポジションに戻っていった。 神岡はロジンを触り一呼吸する。 打席には切り込み隊長糸原。 (こいつは確かかなりの俊足……いきなり塁に出すのはまずいな) そう心の中で考え、朝霧は初球アウトローへストレートのサインを出す。 神岡はすぐに頷き第一投を投げた。 ビュビュッ ドパアン サイン通りのコースに決まる。 糸原は球筋を確認するかのように初球を見送った。 続く二球目、神岡はインコースへのスライダーを投げる。 これに糸原はバットを出すも打球はファウルゾーンへ。 (よし追い込んだ……一球外して) 神岡は朝霧のサインに頷きアウトコースのストレートで一球外し、カウントは2ー1。 そして四球目 糸原はインコースのストレートを引き付けレフト方向へ流し打ち ふわりと打ち上がった打球はサード坂本の後方にポトリと落ちた。
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