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｢ファウル！｣
打球はポール際でわずかに切れて一塁側へと飛んでいった。
(……あんなに飛ばすのかよ)
初めて味わう打たれるかもという恐怖に神岡の背筋を何かが走った。
そして三球目神岡はインローへストレートを投げ込み、松田はこれを打ちにいくがファウル。
カウント２ー１と追い込むことに成功した。
(よし追い込んだ。あとはフォークを振ってくれれば)
朝霧はアウトコースへのフォークのサインを出し、神岡は頷きモーションへと移る。
ビュビュッ
(よしいい高さ。振ってくれ！)
この瞬間グラウンドにけたたましい快音が鳴り響く。
ガキイイン！！
打球はセンターへぐんぐん伸びていく。
いち早く矢部は落下点へと向かう。
しかしなかなか落ちてこない。
打球はさらに伸びを見せる。
(フェンスまで距離がないでやんす……このままじゃ……)
矢部がフェンスにたどり着いた時、ボールはフェンスの向こうへと落ちていった。
白球は無情にもバックスクリーンへと吸い込まれていった──
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