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桜ヶ丘野球部に入学して約2週間が過ぎた。神岡たちも部に馴染み、一段落ついたある日の出来事。
ジリリリリ
ジリリリリ
「……」
大音量の目覚まし音が家中に響きわたる。
しかし起きるそぶりを全くみせない神岡。
「悠介はやく起きな!」
それを見かねた母親、神岡優子が神岡を起こしに来たのだ。
「う~ん……」
寝ぼけ眼をさすり一度は起き上がるが再び布団に隠れた。
「あんたまた遅刻するよ! ドロップキックかまされたいの?」
ドロップキックとはなんとも強気な母親である。
「いやいや、起きます──」
これが神岡家の朝のやり取りである。
家から学校までは徒歩で30分、自転車で20分という距離にも関わらず毎日寝坊し、遅刻という方程式が成り立っていた。
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