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宮野は一時ベンチに戻り朝霧の言葉を伝える。
「癖を見つけた? ほんとかよ」
「それでその癖とは?」
「はい……それがスクリューを投げるときに舌をペロッと出すらしいです」
「はあ? なんじゃそりゃ。ほんとにそれが癖なのか?」
坂本は疑心暗鬼な表情を浮かべている。
「はい、朝霧くんがそうと……」
「つかあいつはどこ見てんだよ。キャッチャーは視点が違うのな」
「とにかく、今は試してみよう! 彼を攻略できるかもしれない」
続く8番三神は送りバントを決め朝霧は2塁ベース上にいた。
1アウト2塁の場面にバッターは9番の神岡。
(今回は打ちにいっていいんすよね?)
少し自軍ベンチの方に目をやる。すると監督はこっちへ来いとジェスチャーをしていた。
「朝霧からの伝言だ──」
(──えっとスクリュー投げるときは舌を出す……だっけな)
カウント1ー1からの3球目そのスクリューが投げられた。
(ここだ!)
完璧な当たりではなかったがうまくレフト前へと転がり1アウト1、3塁といい形で打順は一番に戻る。
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