393人が本棚に入れています
本棚に追加
一方その頃抽選会場では──
「うわあ~すごい人~!」
「神奈川は激戦区だからね。全部で112校あるよ」
「そんなにあるんですか!?」
「大阪とかもかなり多いよ。あそこにいるのは横覇魔高校だよ」
そう言って前の方に座る集団の方を指差した。
「見るからに強そうですね」
「4年連続で甲子園に行ってるからね。去年は決勝で負けたけど」
「えっ? どこにですか?」
「横覇魔早戸っていう無名校なんだけど、あれよあれよと勝ち進んで、決勝まで上り詰めたんだよ。そして決勝は激しい死闘の末、早戸がサヨナラスクイズで甲子園行きを決めたんだ」
「へぇ~まさかの結果だったんですね。野球は何が起こるか分かりませんね……」
「雑誌も決勝前に横覇魔早くも5連覇確実か!? とか書いてあったしね。誰もが行くと思っていたよ」
「じゃああたしらも横覇魔倒して甲子園行っちゃいましょー!」
いきなり大声を張り上げる松山に会場内はざわつき始めた。
それはもちろん横覇魔の面々にも聞こえていた。
ピリピリとしたムードが会場を包み込んだ。
最初のコメントを投稿しよう!