夏の始まり

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「あれどこの学校だよ?」 「さぁ? どうせ弱小だろ?」 ところどころから松山の発言をあざけ笑うかのような発言が飛び交う。 「うちもなめられたもんだな」 「言わせておけ。弱者ほど吠えるものだ。勝ち進んでうちが最強であることを証明すればいい──」 問題が起きそうではあったが、特になにもなく抽選が始まった── 桜ヶ丘の抽選は最後から4番目。 果たして今年の結果はどうなるのだろうか。 (ふぅ~緊張してきたな……。また今年も横覇魔引いたってなったらあいつらなんて言うだろうな。神岡なら喜んだりして。それにしても今年も横覇魔のブロックが空いてるなんて、ほんと運がないな……) 「次桜ヶ丘高校だよ」 役員がなかなか引かない荻原に拍車をかける。 「あっ、すいません。」 ドクンドクンと心臓の鼓動が早くなるのが分かる。 桜ヶ丘の運命が決まる一枚。 それが荻原の右手にかかっているのだから。
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