夏の始まり

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グラウンドには1人練習に息を吐く男がいた。 そう神岡悠介である。 「よーし今日も球走ってるぜ」 「悠介ちょっと飛ばしすぎだぞ。もう予選はすぐそこまで迫ってるんだ。怪我したらしまいだぞ」 「わかってるよ。でもやらずにはいられないっていうか。試合が楽しみで仕方ないんだよ」 「お前は遠足前の小学生か」 「早くキャプテン戻らないかなあ」 「そろそろ帰ってくるころじゃないか?」 噂をすればなんとやら 5分もしないうちに、荻原、松山が抽選会から戻ってきた。 「みんな、今戻ったよ」 「抽選の結果はどうでした?」 結果をいち早く知りたい神岡はうずうずしていた。開口一番荻原に尋ねる。 「まぁ逸る気持ちは分かるけど、とりあえず今から部室でミーティングをやるぞ!」 すべての練習を止め部員は部室へと向かう。 そしてこの後部員が驚愕の事実を知らされることを今はまだ誰も知るよしもなかった──
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