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熊公は氷の中で動かない。
「完全に勝った、俺の勝ちだ」
初めての魔法を使っての勝利に俺は言い表せないほどの感動と嬉しさを感じていた。
いろいろな罠や仕掛けや細工を駆使して戦う中距離専門の魔法使いの闘い方で俺は勝ったのだ。
しかしそんな気持ちもつかの間。
熊入りの氷がひび割れ始めた。
「そんな……己の筋力だけで俺の氷を破壊しようと……」
言ってる間に、氷に入るヒビは少しずつ大きくなっていく。
「使いたくなかったけど……奥の手を使うしか……。幸い熊は炎に氷の魔法でそうとう体力が削られているはずだ……」
熊が氷から完全に出た瞬間を狙うために奥の手の準備をする。
オールオッケー。
絶対に避けさせない。
「絶対……お前を……喰う!!!」
熊が氷から出て叫び、俺が奥の手を発動させるまさにその瞬間だった。
ものすごいスピードの何かが熊を縦に一刀両断した。
熊は半分になりながら地面に倒れこみ今度こそ動かなくなっている。
「やっと、会えた。若き魔法使いくん」
真っ二つの熊のすぐそばにいたのは、日本刀を持った女の子だった。
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