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俺は精神を集中させて、体の中に流れる熱い物を指先に集めるイメージをした。熱い物とはすなわち魔力。己に流れる熱い魔力は火をつけるためのガソリン。ガソリンだけでは火は付かない。指先の爪の先から出るガソリンに指の上で火花を散らしキッカケを与える。指の上で硬い粒がぶつかり火花を散るイメージ。硬い粒がぶつかった瞬間、俺は大きく叫んだ。
「メラッッッ!!!」
その瞬間俺の机の上でイメージした通りの大きな火が一瞬だけ燃え盛って消えた。
「な、なにごと!? 芳樹くん?」
俺の叫びと机の上で火が燃えたのに気付いた英語教師が俺の名を呼んでいる。
そうだった―――今は英語の事業だった。
気づけど既に時は遅し、火災報知機が魔法で発生した炎を察知してアラーム音を鳴り響かせた。それに驚いたクラスメート共が騒ぎ始める。
そしてあろう事か火災報知機はスプリンクラーを起動して教室内に雨を降らせ始めた。
「もしかしなくても、俺のせい?」
びしょ濡れになりながら誰にも聞こえないように一人つぶやいた。すぐ行動する性格も少し困ったものである。
「芳樹君、後で職員室に来るように」
「だが断る」
英語教師が全ての原因を俺と判断し出頭命令を出す。だがしかし、俺は華麗にスルーさせていただく。
誰が好き好んで怒られに行くか。
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