8人が本棚に入れています
本棚に追加
/31ページ
美湖はそこまで話すと大きく一息をつき微笑んだ、しかしそれはいつものような暖かい微笑みではなく、今にも消えそうなほどはかないものであった。
「それは・・・・偽りごとではないのだな?」
彼女の表情を見れば間違いではない事は即座に理解できるのだが、李狛はそれを信じたくなく確認した。
「間違いならよかったんだけどね・・・。残念ながら事実なの。」
「美湖・・・・。」
「ねえ宝楼、私貴方のこととてもとても愛しているわ♪この世界で一番素敵な存在だと思ってる♪貴方とずっと一緒に生きて行きたいと思ったわ。龍と天女、子供を生むことは無理かもしれないけど、寿命が長いもの同士、二人で幸せに素敵な時間を作っていけると思ったわ・・・。でも無理だったみたい・・・。ごめんなさい。」
必死で我慢していた彼女の瞳がから一筋涙が流れた。
「美湖・・・。」
言葉が何も浮かばないまま、李狛は美湖を抱きしめた。その瞳にも、涙が滲んでいた。
その後、美湖は天界に帰ったが、李狛は心の整理がつかないまま神殿に残り満月を一人見上げていた。
最初のコメントを投稿しよう!