欲する事

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欲する事

いつもと変わらぬよい天気の中、子供達は谷の中央に在る広場に集まっていた。子供達は真ん中に座る人物を取り囲みなにやら興味深そうに話を聞いていた。龍の谷では知識があるものが幼い子供達に自分の知識を語り、まだ幼く谷から出ることが許されていない子供達は大人達の話によって谷の外の知識を得ていた。 今、外のことについて話しているのは若い火龍であった。 「でな~、人間ってのは飛べないんだよ。羽根がないからな?ついでに牙もないし爪もない、はっきり言ってすっごく無力なんだよ~。」 若い火龍はその顔には似合わない、教育者の雰囲気で子供達に教えていた。 「火龍四代目若様、それならば人間はどうやって自分の身を守っているのですか?」 茶色い服を着た地龍の子供が、ぴっしっと手を上げ尋ねた。 「人間はな剣とか弓とか盾とかそういう武器で持って身を守っているんだ。」 「変なの~。」 「人間って意味わかんないね~。」 「剣とか弓ってすっごく弱いんでしょ~?」
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