序幕 ー空架かる橋ー

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  「お父さん!」 そう呼ぶと、いつも応えてくれる笑顔。 「なんだい、波音」 「あのね、これ、父の日のプレゼント。はのんが作ったんだよ」 不器用に包まれた、プレゼントの箱。 しわくちゃの包装紙がゆっくりと開かれるところを、幼い少女波音は、満面の笑顔で眺めていた。 中にあるのは、白い羽飾りの付いたネクタイピン。 ネクタイに付けるには大きすぎるいかにもバランスの悪いそれを、彼女の父は嬉しそうに受け取った。 「ありがとう」 その一言が、嬉しくて。  
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