25人が本棚に入れています
本棚に追加
「お父さん!」
そう呼ぶと、いつも応えてくれる笑顔。
「なんだい、波音」
「あのね、これ、父の日のプレゼント。はのんが作ったんだよ」
不器用に包まれた、プレゼントの箱。
しわくちゃの包装紙がゆっくりと開かれるところを、幼い少女波音は、満面の笑顔で眺めていた。
中にあるのは、白い羽飾りの付いたネクタイピン。
ネクタイに付けるには大きすぎるいかにもバランスの悪いそれを、彼女の父は嬉しそうに受け取った。
「ありがとう」
その一言が、嬉しくて。
最初のコメントを投稿しよう!