2nd

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「まあ、そういう訳だから。転校生の迎え頼む」 「嫌です」 大体、何故転校生の話に保健医が混ざってきてんだ。 あんた絶対楽しんでるだろ。 「生徒会に頼んで下さい」 偏差値高めのこの学園の編入試験は難易度が高いと有名だ。 そのため編入生といっても何年かに一人いるかいないか。そして編入生の受け入れは代々生徒会の連中が請け負っていると聞く。 なのに今回に限って何故俺。 「いや、一応頼んではいるんだよ。返事をくれないだけで」 返事をくれないって。 大丈夫か今年の生徒会、とこっそりため息を吐いている中、麻宮先生はさらに続ける。 「ほら、もし生徒会が行ってくれてなかったら、転校生たちは迷っちゃうでしょ? そしたら、理事長だって心配しちゃうし」 「…分かりました」 一生懸命言い募る先生の姿に、諦めて頷く。 その後ろでまたけらけらと笑い出す保健医は、きっと睨むと、 「さーて仕事仕事。今日も可愛い生徒たちが元気に過ごせますようにー、と」 わざとらしくそんなことを言いながら頭の後ろで手を組んで去っていった。 余計なことを。 転校生の子達との待ち合わせは、正門だから。 そう言う麻宮先生に見送られ、職員室を出る。 その時に背後から他の先生が麻宮先生に話し掛けるような声が聞こえてきた。 麻宮先生、いくら学級委員とはいえ向坂に案内を任せるとは…。 そうですよ。第一印象最悪になっちゃいますって。…まあ、今更忠告しても遅いでしょうけどね。 久しぶりの期待の編入生だったんですよ? 確かに、と心の中で納得しながら麻宮先生には申し訳なく思ってしまう。 ちらりと心配になって振り返るが、彼の人柄の良さか苦言を呈していた教師たちの表情は決して悪いものでは無かった。 良かった。 仕方ないから、さっさと職員室に案内してできるだけ悪印象にならないように気をつけよう。 今日も疲れそうだ。 げんなりしながら、転校生たちが来るという正門に足を運ぶ。 .
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