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最初の赤髪と焦げ茶の髪の男が入ってくると、クラス内には昨日の先生と同様歓喜の声が響く。
あの赤い髪の人、かっこよくない?!
僕はあのダークブラウンの髪の人がタイプだなあ。
不良受けっていいよなあ。押し倒してみようか…。
隣のクールくんが、ツンデレだったら……!
ざわざわと好き放題言いたい放題の室内に、案の定赤髪の生徒は頬を引き攣らせているし、焦げ茶の生徒は…また目が輝いてる?
げっ、オタクかよォ。
二人は当たりだったのに、一人だけハズレとか…マジウケる!
萎えるー。
「はいはい。皆さん静かに。時間もありませんし、三人とも。自己紹介を」
「あ、うっす。…俺は榛原 悠太。よろしく」
赤髪くんのニカっと爽やかな笑い。その眩しい笑顔に、黄土色の歓声を上げる生徒。
「雨宮 真人」
それだけ言って無言で頭を下げる。先程まできらきは輝いていた瞳は、今は面倒くさそうに伏せられている。
そんな反応に、クールだのかっこいいだのと、どこかの女達のようにいちいち反応を示す様は、呆れてため息すら出てこない。
「お…、じゃなくて。僕は秋山 空司といいます。よろしくお願いします」
丁寧に名乗って頭を下げたオタク風の転校生。
一瞬の沈黙の後、ぐちぐちと呟かれる悪口。うまいこと、先生には聞こえて無いだろうボリュームだ。
しかしこちらには筒抜けなので、返って居心地が悪い。
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