2nd

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****空司(くうし)Side 「おわあ!でっけえ学校だなあ」 目の前にそびえ立つ馬鹿に金のかかった建物を見上げて、思ったままに感嘆の声を上げる。 「空司、空司。その格好でその言葉遣いはなんか変だぞ」 「んあ?そうかな?」 隣に立つ俺より頭一個分は高い友人、悠太を見上げる。 「そりゃそうだろ。だって今の格好、どう見たって優等生って感じだしよ」 「ええっ?でも俺、敬語なんて使えねえし」 「臨機応変に」 顎に手を当てぽつりと呟くのは、悠太と同じく友人の真人だ。 これは、一応彼なりの励ましのつもりなのだろう。 「…………頑張りま、す」 「よしよし。クソ下手な敬語の時は俺らがフォローしてやるよ!」 ぽんぽん、と頭を撫でられる。 「ありがとうございます…。てふざけんな!子供扱いすんなよ」 「あっはは。悪い悪い」 この野郎、と悠太の脇腹を小突くが、簡単にあしらわれてしまった。 ーと。 「?どうした、マサ」 ん、といきなり声をあげた真人に、驚きながらも首を傾げると、真人はゆっくりと手を持ち上げて指差す。 それを辿り、見てみるとそこにはこちらに向かって来る人影が。 緊張でぴしりと固まる身体。 隣で苦笑いをする悠太と真人の姿が視界の隅に入る。 やってきたのはありえない位顔が整った奴だった。 ただ、残念だったのはソイツが浮かべていた笑いが一目で分かるほどの作りものだったこと。 「はじめまして。私は此処の生徒会副会長を勤める柳恩寺(りゅうおんじ) (かなで)です。…ようこそ、聖涼学園へ」 スッと差し出された手をちらりと見遣ってから、副会長だという人を見上げる。 事務的な会話。事務的な笑顔。 違和感しかない。 「お……ぼ、ぼ僕は秋山 空司です。えーと、副会長、初対面なのにすみませんが、その作った笑顔バレバレですよ?」 怒られるかな?なんて思ったが恐る恐る言うと、副会長が目を丸くした。 あ、やべ。なんか地雷踏んだ? 伸びてきた腕を見て、殴られると覚悟して歯を食いしばって目をぎゅっと閉じる。 だが襲ってきたのは、予想していた痛みではなく、唇への違和感。 「んんっ?」 何じゃこりゃー! 叫びたかったが、出た声は望んだモノじゃなく、くぐもった声。 .
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