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な、ななななな何しやがんだァ!?
コイツはっっ!
驚き手をバタバタさせていると、副会長の舌が俺の唇を割って入り歯列をなぞる。
急いで唇を閉じようとするが、その前に舌が俺のモノに絡み付いてきてビクリと身体が震える。
「んんっ、ん…!ふっ…」
鼻から抜けるような、別人みたいな声に顔に熱が集まる。
後ろにいるであろう友人二人に助けを求めるが、その腕は副会長に掴まれてとうとう逃げ場を失った。
「んん!ん、ぐ…っ」
息がっ、……………もう無理だ!
あとの残る手はできれば使いたくは無かったが仕方ない!
抜けかけていた足の力を入れ直し、ぐっと踏み込んでから目の前の男の腹に蹴りを入れる。
うぐっ、と小さなうめき声とともに、半強制的に俺から離れて膝を着いた。
「はっ……はぁ…ってめ、いきなり何すんだよ!」
素早く息を整えて、演技なんて其方退けで矢継ぎ早に捲し立てる。
「っ……ああ、すみません。君のことを気に入ったもので、つい」
俺の勢いにも動じることなく、あくまでも冷静に応じて来る相手に、戸惑う。
「おや、貴方は」
しばらく目を丸くして副会長を凝視していたが、副会長が突然漏らした声に、はっと我に返る。
副会長の視線を辿ると、悠太に腕を掴まれたままこちらに背を向けている男がいた。
身長は俺より少し高いくらい。前髪は目にかかる程の長さで顔はもう少し近づかなければ見えないようだ。
男を見てから副会長に視線を戻すと、副会長はさっきまでの綺麗な表情はどこへやら。
鋭い目つきで男を睨んでいた。
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