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何が特殊、とまでは聞かなかったが、もしかしたらこの内装のことだったのだろうか?
校舎の中を歩きながら、そんなことをふと思う。
まあ、その辺のことも兄貴に聞けばいいか。
むしろ、あの人も少し特殊だな。物凄いブラコンだし。
「あ、と…。言い忘れてましたが。
私はこの後の集会の準備があるので、案内は理事長室までで失礼しますね」
先頭を歩いていた副会長が振り返り、申し訳なさそうに言うので俺たちは慌てて首を左右に振る。
「いいんですよっ。忙しいのにすみません」
「そうっすよ!理事長室まで連れてってもらえるだけで、大感謝っす」
俺と悠太に続いて、真人も頷いている。
考えてみたらこの人生徒会の副会長さんなんだもんな。
忙しいに決まってる。
「……優しいですね」
ふわりと微笑みを浮かべた表情は、嘘偽りの無い笑顔でこれこそが本当の柳恩寺 奏先輩の笑顔なのだと思った
ー理事長室
昇降口を過ぎてから、たわいない談笑を交わしていると理事長室、とプレートにかかれた豪華な扉の前についた。
「……では、名残惜しいですが、私は此処までで失礼しますね。
また後ほど、お会いしましょう」
本当に残念そうな表情をした副会長だったが、俺たちが副会長の誘いに大きく頷いて返すと、その寂しげな表情を一辺させてふわりと笑みを見せた。
そして、それじゃあ、と呟いて踵を返す。…のだが、数歩歩いたところで、あ!と声を上げてこっちを振り返り一言。
「それと私のことは、奏、とお呼び下さい」
口の端を吊り上げ、いたずらっぽく微笑む姿は、酷く妖艶で。
思わずドキッとしてしまった。
くそ、これがフェロモンという奴か。イケメンめ。
大人っぽいフェロモンに当てられたのは俺だけではなく悠太や真人も同じだったようで、そんな俺たち三人の狼狽えようを見た副会長、基奏先輩はくすくす笑いながら今度こそ去って行った。
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