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「ゴホン!で、こっからが重要。心して聞いてね」
真摯な眼差しで言われ、ごくりと唾を嚥下する。
「前にくうちゃんにだけは言ったけど、此処は特殊な学校でね」
「ああ、それこの学園の内装のことだろ?まあ確かに特殊、って言えば特殊だよな。…てか、兄ちゃん悪趣味」
人差し指をぴっと立てて言うと、悠太と真人は、ああ、と納得顔。
ちなみに兄ちゃんは不満顔で、久遠さんも苦笑い。
「むっ!悪趣味なんて酷いなあ。この学園にいる子の大半は、こうゆう内装が普通だと思ってるよーな子たちばかりだよ」
「えっ、何、じゃあ違うの?」
心外!とばかりに叫ぶと、兄ちゃんはこっくり頷き、苦笑した久遠さんも首肯した。
「じゃあ何が特殊なんすか?」
「うん……。実はさー、ほら、此処は男子校な上に初等部の半ばからは全寮制だろ?」
いや、だろって言われてもそこまで知らない。
だから、適当に相槌を打っとく。
「そこから、大体皆高等部卒業までは此処で生活をともにするんだ。
だけどそのせいか、長年周りに女性がいない環境で育った子たちの恋愛感情は、皆同性に向かうようになっちゃったんだよね」
えええ?!
理事長室内に響く俺と悠太の絶叫。
さすが真人、どんな状況でもれいせ、…あれ、珍しく目が輝いてる?
てかそうじゃない!
「み、皆って……女子と付き合ってたりする奴いないんすか?」
「んーいるだろうけど、ほんの一握りだと思うよ?いたとしても、土日くらいしか会う時間ないし、ほとんど長続きしない子が多いみたい」
ていうか、長続きするなんて稀だよ、稀。
あっけらかんと言ってのける兄ちゃんだが、俺たちはまだ話についていけない。
「あ、もちろんノーマルもいるよ」
思い出したように言った兄ちゃんに、俺たちはホッと安堵の息を吐く。
だが、次の言葉に一気に安心感は消し飛ぶ。
「といっても、それも少ないけどね」
「えっ」
「はあ?」
一、二割くらいじゃないかなー?ねぇ、久遠?
困ったように笑う兄に、久遠さんが頷く。
え。じゃ、じゃあ残りは?
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