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触れるだけのキスを見せられて、さっきの副会長とのことを思い出し顔が暑くなった。
唇が離されたあとの久遠さんは、顔を真っ赤にしたうえに瞳をうるつかせていて、ものすごく可愛かった。
ーと。
コンコンと突然のノック音に、久遠さんの肩が大袈裟に反応して思いっきり暴れて兄ちゃんの腕から逃げた。
「あーあ、惜しかったな」
「なっ、何を仰ってるんですかっ?それより、きっと麻宮先生ですよ」
「だよねえ、時間的に」
入っていいよお、と驚くほどの早さでキャラを変えた兄ちゃんに、俺たち三人は面食らう。
「どーぞー」
スイッチ切り替えて緩みまくりの兄ちゃんが、扉の向こうに声をかけると、一つ間があいて扉が開く。
「失礼します。編入生の迎えに上がりました」
頭を下げて入ってきたのは、透き通るほどに白い肌と綺麗な黒髪の先生だった。知的な印象の眼鏡もよく似合っている。
ジーッと見ていると、視線に気づいたのかその先生は俺を見てにこりと微笑んだ。
慌てて頭を下げる。
「ありがとうございます、麻宮先生。
三人とも、こちらがさっき話した君たちの担任をして下さる先生だよ」
「はっ、始めまして!おれ……僕は秋山 空司といいます。よろしくお願いします!」
あああああ!ヤバいっ。
どうしても一人称が直せない!
「俺は、榛原 悠太っす。隣のは雨宮 真人。
空司共々よろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いしますね、三人とも。
あ、ちなみに僕は麻宮 海と言います」
麻宮 海先生か。なるほどな。
うんうん頷いて、頭にインプットする。
一年間お世話になる先生だ。名前を間違えて覚えるなんて失礼なことはしたくない。
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