2nd

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「いっ、いえ!なんでもないですよー?」 「そう、ですか?」 ごまかすように慌てて言うと、麻宮先生は怪訝そうにしながらも深く追求はしてこなかった。 そのことに安堵してホッと息を吐いていると、麻宮先生にもう一度教室に入るように促される。 しまった、完璧に忘れてた。 はいと返事をしてうなだれたままの悠太を無理矢理起こし、背中にバシッと一発喝を入れる。 「ぐえっ!?っちょ、空司痛ぇ!」 「教室に入るそうですよ。悠太くん、トップお願いしますね」 「うぐっ!ぐぐぐ…」 ああもう、いつまでも煮え切らない奴だなあ。 ま、気持ちは分からないでもないが。 ったく。 「後で昼飯奢ってやっから」 「えっ、マジでか?やった!」 さっきまでの暗い雰囲気は何処へ行ったのか突っ込みたくなるほど、悠太は元気に立ち上がって扉の前に。 るんるんとした足取りで先生に促されて教室に入った悠太の後をドアの側にいた真人も続く。 廊下に一人残される俺。 あ、ヤバい。 一気に緊張してきた。のの字。のの字。のの字。 ひたすら手のひらにのを書いていく。 廊下で一人、手の平にひたすら何かを書きソレを口に含む姿は異様だろうが、今の俺にそんなこと気にする余裕はない。 そののち五回ほど、手の平にのを書きつづけた俺は、さすがにやり過ぎかと諦めて教室に足を踏み入れた。 途端に集中する視線。 それがなんだか鋭く感じるのは、もしかしたらこの怪しい格好のせいだろうか? だとしたら恨むぜ、兄ちゃんと真人くんよ。 心の目では遠くを見据えているが、現実の俺はちゃんと精神を留めておく。 .
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