2nd

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「委員長でいいですよ。…先生がああ言うから案内はするけど、極力自分たちで早く慣れてくださいね。それに…俺に関わるとろくなことないですよ」 早口で告げられ、さっさと踵を返してしまった向坂…改め委員長を見て唖然とする。 何なんだ、今のは…? 遠回しに物凄く拒絶された気がする。 それにろくなことないって、なんだ? 後ろの二人を見ると、俺と同じように唖然としていた。 せっかくの美形が台なしなくらいの、間抜け面だ。 はて。この二人はどうしたものか。 「あーあ。相変わらずだなあ」 顎に手を宛て考え込んでいると、悠太と真人の後ろから声が聞こえてきた。 そちらを見遣ると、そこには落ち着いた茶髪の生徒とダークブルーの髪の生徒がいた。 声をかけてきたのは、どうやらダークブルーの髪の生徒のようだ。 「相変わらずって?……ああいや、それよりそっちは?」 悠太が気を取り直したように、首を傾げる。 「んあ?ああ、すまんすまん。俺ぁ、安原(やすはら) 康太(こうた)。康太でもなんでも好きに呼んでよ。 よろしくな、転校生諸君」 「俺は、喜多(きた) 凉桜(りお)。俺のことも好きに呼んでくれていいけど、名前にちゃん付けだけは止めて欲しいな」 眉尻を下げて笑うその顔は、女の子のようで可愛い。 「………お、男の娘」 「あ?マサ、なんか言った?」 「別に」 うんうん。慌ててそっぽ向く真人も可愛いな。 でも、結局真人はなんて言ったんだろ? 気にはなるけど、それよりもさっきのこの人の言葉のが気になるな。 「あの、それよりさっきの相変わらず、ってどういうことですか?」 ああ、それね。 呟いた凉桜は歩きながら話すよ、と俺たちを促し教室を出る。 「委員長のあの素っ気ない態度は今に始まったことじゃないんだよ」 凉桜が苦く笑いながら説明してくれる。 「そうそう。向坂のあの態度は、此処に来たときからだよ」 「此処に来たとき?って、委員長も転校生だったのか」 目を丸くした悠太に、凉桜は過去を思い出すように天を仰いだ。 「うん。俺は同じクラスだったんだけど中学二年の……夏休み明けくらいかな?」 とにかく、その頃から委員長はああだったよ、と。 当時を振り返っている凉桜の隣で、康太が何度も首を縦に振っている。 .
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