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暇つぶしにと持ってきていた本を眺めること数十分。おなじみのチャイムが鳴り響き、それと同時に担任が入ってきた。
見たことのある教師だ。
教室の至るところから、歓喜の声を上げている生徒がいるから、この教師は人気があるのだろう。
ここ【聖涼学園】の生徒は特殊だ。
何が特殊か、というと。ここの生徒の中には、異性じゃなく同性と恋愛をする者たちがいるということだ。
おまけに、この学園には異性同性どちらもいける奴らや同性だけにしか好意を持てないという奴もいた。
もちろん、ノーマルもいる。
ついでに言えば、あの担任も男。
顔立ちは女性にも見える、中性的だ。
華奢な体躯に、色白な肌。真っ黒で艶やかな髪。ノンフレームの眼鏡も印象にあっている。
当たりと言われたこと、そして歓喜の声を上げられたことに驚いたのか、先生は首を傾げていた。
だが、それも一瞬のことで先生は教卓に着くと、教師の顔に切り替えて口を開いた。
「皆さん、おはようございます。僕は、麻宮 海と言います。
今年一年、よろしくお願いしますね」
にこり、と文句なし100点満点の笑顔を浮かべた先生。
そんな先生にぽっと頬を染める生徒が視界に何人も入り、ため息がこぼれる。
確か去年赴任してきた人だったか、まだまだ無防備な雰囲気がある。
やれやれと先生を呆れ顔で見上げるとぱち、と目があいニコと微笑まれる。
一瞬呆気に取られるが、ふぃと視線を逸らすと、案の定先生の不安そうな顔。
僕、何かしたかな?
という心の声が、しっかり顔に書かれてしまっている。
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