類はおそらく友を呼ぶ

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「…こんなもんで良いですか…部長?」 積鳴 遥(せきなり はるか)は大学ノートにさらさらと書き込んでいたものを見せた。 ここは梨理(なしことわり)市の梟(ふくろう)高校。 彼女たちは「鏡面小説ルズウェース」という作品を共同執筆している小説家志望の愛好者の集まりだ。 具体的にはルズウェースと呼ばれるファンタジー世界の冒険物だ。 遥は高校1年生ながらその主人公のレジェットの役をもらっている。 職業は神殿騎士で性別は男だ。 書いている人物は女なのだが。 「まだまだちょっと青いかな? …このあたりを…こう…。」 部長の名は近雲 理緒(ちかぐも りお)。 知的系眼鏡女子のおっとりとした少女である。 ちょっと個性的だが、頼りになるのでメンバーからは尊敬されている。 「…分かりました。」 意外に上手くいかないなと、遥はため息をついた。 「次はレジーの友人のアルのパートだけど…蒼空笛(そらぶえ)はまだ来てないのかい?」 メンバーの一人を理緒は探す。 ちなみにレジーとはレジェットの愛称である。 「博幸(ひろゆき)?」 遥も辺りを見回した。 「たぶんまたどこかをふらふらしているはずだけど。 さすがに戻って来るのを待つしかないですよ、部長?」 確かに何を考えているか分からない博幸の相手は少し疲れる。 遥はつやつやした水色の豊かな三つ編みの髪の毛を不満そうにいじり始めた。
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