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「それにしても部長?」
遥はプリンの山と醤油を学校に持ち込んだ部長を叱り始めた。
「いいかげん、プリンにお醤油をたらして部員に食べさせるのは止めて下さい。
そもそもうちの学校は校則が厳しいんですよ?
停学なんて嫌です。」
近雲部長…別名うに部長。
プリンと醤油にてうにの味を再現する事に熱意を燃やす癖もある変わりものである。
「大丈夫よ積鳴…いつも言ってるでしょ?
人間、目的意識を持って動いたほうが絶対に楽しいって。」
そう言って理緒は遥の口の中に醤油入りのプリンを押し込む。
普通なら逆らうところが、遥は理緒に色々世話になっているので逆らえない。
「醤油を加えたプリンです。」
しかし、はっきりとした酷評は述べた。
口の中に広がる風味はどう考えてもうにではなく、醤油味プリンである。
「…まだまだ…か。」
しかし諦めないのが理緒部長であった。
部員は諦めて欲しいとは思っているのだが。
「はるっちょ…相変わらずしかめ面しちゃって。」
ガラガラとうに部長のクラスの教室の扉が開けられ二人の女子生徒が入ってくる。
放課後のわずかな時間に空いた教室を軽い部室代りにさせてもらっているのだ。
もちろん校則の厳しい梟高校では大した時間は取れなかった。
活動の大半はメールでのやり取りと休日の集まりに絞られる。
「香澄(かすみ)に弥生(やよい)。」
互いに人懐っこそうな二人が入ってきた。
遥の事をはるっちょと呼ぶのは姉の香澄。
反対に遥ちゃんと呼ぶのは妹の弥生だ。
葉納山(はなやま)という名字の二人は、一つ違いの姉妹である。
二人は持っていた小袋からアクリル製のダイスをいくつか取り出し、楽しそうに握りしめた。
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