2 傷つけたくないのに

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志緒理はオレの気持ちなんておかまいなく、男の話をする。   オレがずっと守ってきたその笑顔を、他の男に向ける。 そして、誰もが触れたことのない肌を他の男が触るのか? 想像しただけで吐き気がしそうだった。 何も知らない志緒理。 オレが、何度お前を抱きたいと思ったか。 何度、お前をめちゃくちゃにしたいと思ったか………。 でも、しなかったのは、お前を傷つけるとわかってるからで、他の男に抱かれるために、オレはお前をずっと見ていたわけじゃない。  自分の中に芽生える嫉妬を、押さえ込むのはかなり苦痛だった。 抱かせてくれる女なんて、他にいる。 別にオレがモテるとかそんなわけじゃなくて、族に入ってるってだけで、ミーハーなバカ女は簡単に足を開く。 でも、満たされない。 志緒理じゃないと、全然満たされなかったんだ! だから、アイツとつき合うことになった時、初めてアイツを抱いた時、オレはもう、ホントにどう表現していいかわからない位に、幸せだった。    引っ越しで小学校は転校したものの、中学に上がると、校区がグッと広がって、昔住んでた所の友達と再会した。 あの街に住んでると、子供は子供らしさを無くしてしまう。 人より少し成長速度が速いっていうのか、どこか感受性の高い人間になってしまう。  太郎とも、そうやって再会した。 太郎は、小学校の頃から悪ガキだったので、中学に上がるとすぐに仲間を集めて族を作った。 オレは、志緒理以外の普通の子供になつく事ができずに、はみ出しっ子だったから、すぐに太郎の仲間になった。 魔怒というチームはすごくオレに居心地がよくて、一緒にいるだけで安心するようなそんなチームだ。
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