プロローグ

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俺は学校の階段を登っていた。学校に来るのは久し振りだった。あの戦争が無ければ今頃卒業していただろう。 やがて見慣れた教室に着いた。 佐藤「おぉこれはこれは中隊長~‼おはようございます!」 西川「お前ら元気だな~!しかし戦争は終わったんだ、その呼び方はよせよ。」 教室に入るなり、いきなりジョークが飛んだ。こいつは佐藤。実はこいつは義足だ。 佐藤「そうだな、もう戦争は終わったんだ。久し振りだな優。」 俺は自分の席に座ろうとした。他の机を見ると半分以上の机に花が供えられていた。この席の奴等は死んだ。40人いたクラスメートも今では23人。その内6人は戦争での傷が癒えずに未だ入院中だから今17人しかいない。 青井「おはよう優。」 彼女は青井愛。このクラス唯一の女子だ。学校が工業高校なので女子は少なかった。 西川「おはよう愛。元気してたか?」 青井「まあまあね。でも久し振りだね学校に来るの。」 そんな会話をしていると担任の先生が入って来た。 担任「みんなおはよう。久し振りだな。戦争が終わってまた授業を再開出来ると思ったが・・・こんなに少ないとはな・・・」 先生は泣きながら話した。みんなも下を向いて泣いていた。つい2年前まで隣りにいた仲間がいないのが今の現状だからだ。 担任「みんな、これから死んだ奴等に黙祷を1分間捧げる。全員黙祷!!!」 俺は目を瞑り、仲間1人1人を思い出した。そして蘇ってくる戦場の光景・・・ -助けてくれ~!撃たれた!- -衛生兵!助けてくれ!- -こいつ撃たれてます!早く助けないと・・・助けないと死んじゃう・・・- -西川・・・母さんに・・・母さんに大好きって伝えて・・・-
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