1 再会

11/12
前へ
/29ページ
次へ
教会の外に出ると、村の人達が集まって、教会の前に停められた立派な馬車を遠巻きに眺めていた。 馬車にはエデュス家の紋章がついていたので、おそらくドゥナ様はこの馬車を使って、ここまでやって来たのだろう。 村の人達は、教会から出て来た私とドゥナ様の姿を見て、何やらざわつきだす。 お世話になった村の人達にも、何かお礼や事情を説明した方がいいかもしれないと思ったけれど、ドゥナ様に促され、私は何も言えないまま馬車に乗り込んだ。 その後すぐ、ドゥナ様も私と向かい合うように馬車に座ると、御者さんに出発するよう合図を送って馬車を走らせた。 狭い馬車の中で、重苦しい沈黙から逃げることも出来ず、なるべく目立たないよう俯いて縮こまる。 それでも何故か、ドゥナ様の視線が私に突き刺さって離れない。  
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加