2 出逢い

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しばらく後、立派な門をくぐり抜け、私の生家より何倍も大きい邸の前で、馬車が止まった。 おじ様の手を借り、馬車から降りると、邸はよりいっそう大きく、そして何故か冷たく感じた。 「おじ様……」 邸の存在感に圧倒されて、私は思わずおじ様の後ろに隠れた。 そのタイミングを見計らっていたかのように、邸の扉が開き、中から燕尾服を着た初老の男性が姿を現した。 「お帰りなさいませ。旦那様」 「ああ。ただいま、フリッツ」 おじ様の背中からそっと覗くと、フリッツと呼ばれた初老の男性が恭しく頭を下げていた。 「この方がグリジット家のご令嬢、セレさんだ。今日からこの邸に住むことになるので、色々気に掛けてやってくれ」 そう言うとおじ様は振り返って、私を見た。 「セレちゃん。彼はこの邸の執事、フリッツだ。ここでの生活に何か不都合があれば彼に言うといい。この邸のことはすべてフリッツに一任してある」 「初めまして、セレ様。旦那様から紹介に預かりました、執事のフリッツです。どうぞ宜しくお願い致します」 フリッツさんが表情ひとつ変えず、私に頭を下げる。 その様が、なんだか冷たく感じて、私はおじ様の背中に隠れたまま「こ、こちらこそ……よろしく、お願いします」と小さな声で言うのがやっとだった。 「セレさんは人見知りでね」 そうおじ様が庇(かば)って下さり、特に問題もないまま、執事のフリッツさんの案内で、おじ様と共に邸の中に足を踏み入れた。  
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