1 再会

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「……随分な言い草だな。セレ」 穏やかな口調なのに、私の体は底冷えし、震えが止まらない。 表情は笑っているのに、私を見つめる青い瞳はまるで氷のように冷たくて、まったく笑っていなかったから。 おもわず私は牧師様の服をギュッと握り締めた。 そんな私を見て、全身に冷気を纏(まと)ったドゥナ様が口の端を上げ、意地悪く笑う。 「子まで成した仲だというのに」 その言葉で、教会内に張り詰めていた空気が一気に頂点まで押し上げられた。 「セレさん!?」 牧師様が意見を求めるように私の名を呼んだけれど、私には答えることが出来なかった。 ただ、声が出ないと首を横に振り、涙を堪(こら)えることしか出来なかった。 そんな私に追い討ちをかけるように、ドゥナ様が冷たい笑みを浮かべながら、牧師様と私に近付いて来る。 偶然にも私とドゥナ様を隔てるように零れた桶の水さえも大した障害物にはならなかったようで、ドゥナ様は靴が汚れるのも構わず踏み越えて来た。  
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