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…あの日を思うと、楓に告白して本当に良かったなって思う。
彼女がいなかったら……この先僕の人生全部が嘘だらけになってただろうな。
「楓」
目の前を歩く楓を呼び止めた。
楓は「ん?」っと言って足を止める。
僕は楓の隣まで歩いて、楓の手を握った。
「え!?」
楓は驚き顔を赤くした。
まぁそりゃ驚くよな…。僕から初めて楓に触れたんだし。
「ほら、寒いから…」
「あ、そ、そっか!!
うん!寒いもんね!」
そして僕等は再び歩き出す。
楓はずっと顔を赤くして前だけしか見なくなった。
可愛いなぁって思ってるけど、僕もたぶん真っ赤だろう。
全身が熱くなるのを感じた。
「……楓」
「な、何?」
「ありがとう、心配してくれて」
「………うん!」
ギュッと握り返してくれた楓に僕は小さく笑った。
相変わらず、僕は嘘つきだけど…――君の前では正直になれる。
君の真っ直ぐな目と言葉に僕は救われる。
だから、これからもずっとそばにいて、僕の嘘を見抜いてください。
~おわり~
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