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八月某日。
あたしはとある球場のベンチスタンドに立っていた。
この日は猛暑日で、会場に来た半数が脱水症状で続々と救急車に運ばて行く。
あたしも何度か倒れそうになったが踏ん張った。
だって、今日は野球部の夏の予選――準決勝だ。
あたし以上に暑さに耐えて頑張る部員達を前に、マネージャーであるあたしが倒れる訳にはいかない。
今日勝てば…次は決勝戦。
そして決勝に勝てば、長年だった甲子園出場だ!
試合の状況は九回の裏でこっちが一点リード。
だけど、二・三塁にはランナーがいる…。
一打あれば同点、でも長打なら逆転されて試合は終了。
この回を押さえれば、……ウチの勝ち!!
みんな……頑張れ!!
心の中で強く叫び、スコアボードを強く抱きしめた。
三年生バッテリーが次のサインを決めた。
先輩投手が投球フォームに入った時だった――。
三塁ランナーが強くベースを蹴り、走り出した。
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