嘘つきな僕と正直な彼女。

3/12
前へ
/54ページ
次へ
薄暗くて寒い廊下を歩くこと数分。 僕は職員室の前へと到着した。 寒くて仕方ないけど、僕はトントンとゆっくりドアを叩き、小さく挨拶してから中に入る。 職員室に入ると、ブワっと暖房が体に染み渡る。 部屋を見回すと、中にはあまり人が居なかった。 けど用のある先生は居た。 一人黙々と仕事をしている。 僕は直ぐ様その先生の所に足を動かす。 「あの、大野先生。生徒会の報告書を持って来ました」 仕事に集中していたのか、少し間を開けた後に先生は僕に気づき振り向いた。 「オォ塚田!ご苦労さん!!」 生徒会担当の大野先生は笑顔で書類を受け取った後、書類の中身をペラペラ捲った。 そしてピタッと手を止める。 「この書類……会長の判子以外ほとんど字が同じじゃないか? もしかして塚田、お前一人で作ったのか?」 ギクリと心臓が跳ねた。 「え…あ…その……。全部じゃ無いですけど……」 僕は少し目を反らして答える。 それを見て先生はため息をついた。 「また押し付けられたのか…。困った奴らだ」 「み…皆、今日は用事があるらしいので…」 アハハと僕は無理矢理に笑った。
/54ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加