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「確かに寒かったけど……――蓮と一緒に帰りたいって思ってたから寒いとか気にしなかった」
「っ…!」
不意に楓から視線を離す。
…何で、彼女はこうもさらりと恥ずかしい事を真っ直ぐ言うんだろう。…しかも笑顔で。
それを見て僕は顔が熱くなる。
「……蓮?顔赤いよ?」
僕が不意に視線を外した事を不思議に思ったのか。楓は僕の顔を覗き込む。
「何でも無いよ!ストーブが熱くてさ…。
早く帰ろうか!」
自分の鞄を取ってストーブの火を消した後、僕と楓は生徒会室を後にした。
…―――――――――。
学校の帰り道。
僕等は隣に並んで歩いてる。
さすが真冬。廊下でも寒さは実感したけど、外はそれ以上に寒かった。
外も真っ暗なのに、楓はよく待っててくれたなと思い、ちらっと楓を見る。
視線を感じたのか、楓は僕の方に顔を向けて「ん?」っと言った。
僕は「何でも」と言って前に視線を戻す。
「真っ暗だねー」
「冬だからね…」
「…………」
「…………」
会話が続かないな…。
そう思った時だった。
「あ。今日の生徒会、仕事キツかったの?」
楓は突然思い出したように僕に聞いてきた。
「え?」
「いつもは夕方までには終わるし、それに……」
「?」
楓は少し口ごもった後、静かに口を開いた。
「――さっき部屋に戻った時、疲れた顔してたから」
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