嘘つきな僕と正直な彼女。

7/12
前へ
/54ページ
次へ
「確かに寒かったけど……――蓮と一緒に帰りたいって思ってたから寒いとか気にしなかった」 「っ…!」 不意に楓から視線を離す。 …何で、彼女はこうもさらりと恥ずかしい事を真っ直ぐ言うんだろう。…しかも笑顔で。 それを見て僕は顔が熱くなる。 「……蓮?顔赤いよ?」 僕が不意に視線を外した事を不思議に思ったのか。楓は僕の顔を覗き込む。 「何でも無いよ!ストーブが熱くてさ…。 早く帰ろうか!」 自分の鞄を取ってストーブの火を消した後、僕と楓は生徒会室を後にした。 …―――――――――。 学校の帰り道。 僕等は隣に並んで歩いてる。 さすが真冬。廊下でも寒さは実感したけど、外はそれ以上に寒かった。 外も真っ暗なのに、楓はよく待っててくれたなと思い、ちらっと楓を見る。 視線を感じたのか、楓は僕の方に顔を向けて「ん?」っと言った。 僕は「何でも」と言って前に視線を戻す。 「真っ暗だねー」 「冬だからね…」 「…………」 「…………」 会話が続かないな…。 そう思った時だった。 「あ。今日の生徒会、仕事キツかったの?」 楓は突然思い出したように僕に聞いてきた。 「え?」 「いつもは夕方までには終わるし、それに……」 「?」 楓は少し口ごもった後、静かに口を開いた。 「――さっき部屋に戻った時、疲れた顔してたから」
/54ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加