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「……そうかな?
別に疲れてないよ」
職員室でやりとりしてた先生と同様に、僕は笑って答える。
「………」
すると突然、楓は立ち止まり、黙って僕を見つめる。
止まった彼女に気づき、振り返った後、しまった……と僕は思った。
「ほ、本当だからさ!早く歩こ?寒いし」
「…………」
黙って見つめる彼女に僕は少し唸った後、沈黙に耐えかねて本音をもらした。
「…今日は、いつもよりたくさん仕事頼まれたからちょっとは疲れてる…かも」
そう言うと、楓はにっこりと笑った。
「あんまり無理しちゃダメだよ?
疲労で倒れるなんて笑えないんだから」
「う、うん…。ごめん…」
「何で蓮が謝るの?
ほら、もうすぐ冬休みでしょ?
蓮が体壊しちゃったら一緒に遊べなくなっちゃうじゃない。
そうなったら嫌だから言っただけ」
そう言って楓は前を向いて再び歩き出した。
その後ろ姿を僕は黙って見つめ、ふとあの日の事を思い出す。
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