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思い出してるのは六月の時。
突然彼女が僕を教室に呼び出した。
『私ね……塚田君の事が好きなの!』
突然の彼女の告白に、僕は困った。
彼女の事は名前くらいしか知らなくて、クラスも別だから話した事も無い。
断りたかった。
でも断って印象を悪くするのが嫌だった。
――適当につきあって適当に別れればいいか…。
そんな最低な事を考えた後、直ぐに僕は嘘の言葉と笑顔を作った。
『…嬉しいよ。僕も有村さんの事が気になってて付き合いたいって思ってたんだ』
僕がそう返事をすると、彼女は急に黙って僕を見つめる。
そして驚きの言葉が返ってきた。
『――ウソ。
本当はつきあいたい何て思ってないでしょ』
『!!』
図星と驚きで言葉が出てこなかった。
まさかそんな言葉が返ってくるとは思ってなかったからだ。
『私、塚田のそういうの嫌いだよ?
何でも良いよって言って笑ってれば大丈夫だろって所』
『…………』
――何を言ってるんだろう。
そして、何でバレてるんだろうって頭がごちゃごちゃした。
彼女とは話した事以前に挨拶だってした事も無い。
そんな彼女が何故、僕が嘘をついているなんてわかったんだろう。
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