シャボン玉

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クラス替えをしてクラスが離れた数週間後、久々に会った今と同じ朝の通学路で、彼女ができたことを伝えられた。 "彼女"とは同じクラスで息投合して、"彼女"に告白されたらしい。 関係を壊すくらいなら言わないほうがいいなんて嘘だ。 それで他の人のものになったら意味なんてないのに。 そんなことに今更気付いたって遅いのはわかってるけど。 昇降口で別れて、教室へ向かう。途中、"彼女"とすれ違った。 あたしから見ても羨ましいくらい可愛い子だった。もっと嫌な子だったら、わたしも少しは楽になれたかもしれないのに。 放課後、また彼と会った。 「じゃあまた明日な」 そう声をかけてあたしの横を通り過ぎて行く。 大きな背中は決してあたしのものになったりしないのだ。 昇降口を出たところで待っている、"彼女"の横を歩く。 あたしはその数十メートル後を一人歩いて帰る。 あたしは"彼女"の位置が欲しかった。そうやって彼の隣を歩きたかった。 やっぱり決してあたしのものになることはないのだけれど。 途中通りかかった公園の中で小さな子供がシャボン玉で遊んでいた。 一つ大きめのシャボンの泡が少し高いところまで飛んで、パンッと弾けた。 割れちゃえば 苦しまなくて いいのかな 君への想い 詰まったシャボン もし、シャボン玉にあたしの想いを詰められるなら、いくらだって飛ばすから、お願い神様。 《あたしの頬に流れた涙を今すぐ止めてよ》 fin .
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