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お母さんが、私達を庇う。
部屋は酷い有様で。
食卓の椅子は倒れ、花瓶が割れて陶器の破片と水が散らばっている。
私達に背を向けたお母さんの向こうから、迫り来る影。
あれは、誰?
言いようのない恐怖と焦燥感が、小さな私を襲う。
「亜依、周、逃げなさい!!
……早く!!
走って、お父さんの会社に行くのよっ」
前方を気にしながら、叫ぶお母さん。
戸惑いながらも、周の手を引いた。
「亜依!」
部屋を出る直前で呼ばれて、反射的に振り向いた。
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